都会の中に歴史を感じるスポット 百段階段

百段階段、友人からチケットをいただいたので初めて行ってきました。訪れてからだいぶ時間が経ってしまいましたが、都会の中に歴史を感じられるスポットの一つなので今回じっくり調べてみました。目黒駅から徒歩数分の所にこんな素晴らしいスポットがあっただなんて。。。ほんとうに異空間でした。

雅叙園の百段階段は、東京・目黒に位置するホテル雅叙園東京の中でも特に注目される文化財であり、歴史と美が交錯する場所です。この建物は1935年に建設され、東京都指定有形文化財としても認められています。百段階段はその名の通り99段の階段で構成されており、7つの異なる部屋を繋いでいます。それぞれの部屋には、当時の著名な画家たちによる美しい装飾が施されており、日本の伝統美を感じさせる空間が広がっています。

この百段階段は、昭和初期の日本における木造建築技術と美術工芸の頂点を示すものとして、多くの人々に愛されています。特に、その豪華な装飾は「昭和の竜宮城」と称されるほどで、金箔や金泥を使用した精緻な仕上げが施されています。各部屋の天井や欄間には、四季折々の草花や風俗画が描かれ、訪れる人々を魅了します。例えば、床柱には巨大な檜が使用されており、その彫刻には中国の漁樵問答が表現されています。このような細部へのこだわりは、当時の職人たちの技術と情熱を物語っています。

また、百段階段はただの観光名所ではなく、文化的なイベントや企画展が行われる場でもあります。これにより、訪れる人々は日本の歴史や美術について学ぶことができる貴重な機会となっています。特に「百段百景」という企画では、建物そのものを楽しむだけでなく、多彩な展示やアート作品も鑑賞できるため、美術愛好者や歴史ファンにとって見逃せないスポットです。

名前の由来

雅叙園の百段階段の名前の由来は、実はその階段の段数に関する興味深い背景があります。百段階段は99段から成り立っているにもかかわらず、「百段」という名称が付けられています。この名称については、いくつかの説が存在しますが、主に縁起担ぎが理由とされています。

まず一つ目の説は、「奇数は陽数であり、縁起の良い数だから」というものです。日本文化では、奇数が吉兆を意味することが多く、特に「百」という数字は大きな数を表す際に用いられます。例えば、五節句などの伝統行事でも、奇数の日に特別な意味が込められています。このため、99という奇数を強調するために「百」と名付けられたというわけです。

二つ目の説は、「未完の美学」に基づくものです。完璧な状態や数字は長続きしないという考え方から、あえて1つ少ない99段としたことで、まだ良くなる余地を残したという解釈です。このようにすることで、常に進化し続ける美しさを象徴しているとも言われています。

各部屋の名前の由来

雅叙園の百段階段には、7つの部屋があり、それぞれの部屋には独自の名前と由来があります。

  1. 漁樵の間
    • この部屋の名前は、中国の古典「漁樵問答」に由来しています。部屋の装飾には、漁師と木こりの生活が描かれており、自然との共生をテーマにした美しい彫刻が施されています。壁や天井には極彩色の日本画が描かれ、豪華な雰囲気を醸し出しています。
  2. 草丘の間
    • この部屋は、草花をテーマにした装飾が特徴です。四季折々の草花が描かれており、特に「雛あそび」の道具が展示されることもあります。この名称は、自然や季節感を大切にする日本文化を反映しています。
  3. 十畝の間
    • 名称は、江戸時代から伝わる京阪風の御殿飾りに由来しています。この部屋は特に雛祭りに関連した装飾が施されており、伝統的な雛人形やその周辺の文化を感じさせます。
  4. 菊池華秋の間
    • この部屋は、著名な画家である菊池華秋による装飾が施されています。華秋は四季草花をテーマにした作品を多く残しており、その美しい絵画がこの部屋にも息づいています。
  5. 尾竹竹坡の間
    • 尾竹竹坡は、江戸時代の画家で、この部屋には彼の作品が描かれています。五節句をテーマにした極彩色の浮彫が施されており、日本の伝統行事を感じさせる空間です。
  6. 清方の間
    • 美人画で有名な鏑木清方による装飾が施された部屋です。落ち着いた茶室風のデザインで、特に静謐な雰囲気を持っています。清方の筆による四季風俗美人画が壁や欄間に描かれています。
  7. 扇面形杉柾板の間
    • この部屋は、扇面形杉柾板を用いた装飾が特徴です。四季草花や風俗画が描かれた欄間もあり、日本らしい美意識が感じられます。

東京都指定有形文化財に選ばれるポイント

1. 歴史的価値

文化財として認められるためには、その建物や遺品が持つ歴史的な背景が重要です。具体的には、特定の歴史的事件や人物に関連していること、または地域の歴史や文化に寄与していることが求められます。このような価値が認められると、文化財としての指定が進みます。

2. 技術的・意匠的価値

建物や工芸品が持つ技術的な優秀さや独自のデザインも重要な選定基準です。特に、当時の建築技術や工芸技術を示すものであること、またはその後の技術発展に影響を与えたものであることが評価されます。

3. 造形の規範性

その建物や作品が、他の同類のものに対する模範となるような存在であることもポイントです。つまり、その地域や時代において代表的な建築様式や工芸スタイルを体現している場合、高く評価されます。

4. 保存状態

選定される際には、対象となる文化財の保存状態も考慮されます。適切に管理されていること、または保存・修復の計画がしっかりしていることが求められます。これにより、将来的にもその価値を維持できる可能性が高まります。

5. 地域社会への貢献

文化財は、その地域社会において重要な役割を果たすことも期待されています。観光資源としての活用や地域文化の継承など、地域住民との関わりが深いものは特に評価される傾向があります。

これらの基準を満たすことで、東京都指定有形文化財として認定される可能性が高まります。文化財として指定されることは、その価値を広く認識させるだけでなく、保護や活用のための支援を受ける機会にも繋がります。

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